復興の軌跡を支えた“鉄の力”と“人の想い”

震災と、港の復興への想い

令和3年(2021年)、令和4年(2022年)と2年連続で震度6強の地震に見舞われた相馬港。小名浜港に次ぐ福島第2の港である。火力発電所が近く、石炭、LNGをはじめとした産業に使われる物資が日本のみならず世界中から届けられる。

しかし、この地震によって港全体が被災。一部では船が接岸できなくなってしまった。

地域経済・産業の要である相馬港の復旧工事は急務。行政も地震発生直後から対応に動いていた。

資源が届かないことによる地域産業への影響は大きい。それは東北商事・東北レミコンにとっても例外ではない。

生コンクリートを作るのに必要なセメントは、大船渡や北海道から相馬港にあるセメントメーカーのサービスステーションに船で運ばれ、そこから東北レミコンの工場へ陸上輸送されてくる。

実は、この相馬港のサービスステーションを誘致した一人が、創業者の佐藤十郎であった。縁の深い港の復旧プロジェクトには、「東北商事としての役割を果たしたい」という想いがことのほか強かった。

鉄の力、人の力

今回、東北商事が納品することとなり、本プロジェクトの要となった鋼材は「鋼矢板」。土留めや止水のために用いられる、凹凸状に成形された鋼板で、組み合わせて岸壁などの場所に鉄の壁を作る用途で使われる。

厚さはおよそ10~20mm。その薄さで岸壁の土砂を全て受け止める。そんな鋼矢板は、東北商事の主力商材のひとつである。

製造元の鉄鋼メーカーグループとは創業以来の取引関係。お客様(建設会社)からの依頼内容や、現場の状況、物件情報などを、メーカーに足を運んで密に連携し、「予算や納期をはじめとする情報の共有」や「メーカーの協力取り付けの調整」に力を注いだ。

復旧工事は、時間との闘いである。正確な設計・図面をもとにして工事発注する手順を踏めないケースもある。測量しつつ、その状況に応じて必要な鋼矢板の枚数、加工条件などを算出し、現在進行形で決定しながら進めていく。

鋼矢板は長さから塗装までがオーダーメイドの受注生産品であり、在庫はない。製造タイミングを1日でも逃すと納期が1か月延びてしまうこともある。発注ミスや納期の遅れが命取りとなる状況の中、営業担当者は現場に足しげく通い、地震発生から納品完了まで3年近くもの間、最新の状況をはじめとした現場の声をメーカーに連携し続けた。

地域と未来へのメッセージ

メーカー・建設会社双方の要望が100%通らないこともある中で、間に入って調整を続け、最終的に1号ふ頭の岸壁に納めた鋼矢板は総延長数百メートルにも及んだ。

地域の要である相馬港が2年連続で甚大な被害を受けるという、緊急事態の中で立ち上がった復旧プロジェクト。

そこに“鉄の力”を呼び込むという役割を全うできたことは、私たちの誇りとなっている。