阿武隈山地に吹く風を、未来のエネルギーに
挑戦の始まり
東日本大震災後、福島県は再生可能エネルギーに重点を置くようになった。その流れもあり、浜通り(福島県沿岸部)の西側に位置する阿武隈山地には、100基前後の風力発電が建設されている。
標高数百メートルの阿武隈山地。その尾根沿いに新たに建設する5基の風力発電の基礎部分に、生コンクリートを届けるのが今回の仕事。
どこの工場からも遠い山間部へ、複数の工場から同じタイミングで生コンクリートを運ぶという“共同”プロジェクトが始まった。
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困難と克服
巨大な風力発電を支える基礎部分には、高品質の生コンクリートが大量に必要となる。今回、アジテータ車で延べ100台以上の生コンクリートを、たった1日で運ぶ必要があった。
近くの現場であれば自社の車両のみで何往復もして運ぶことが可能だが、山間部のため、1回の配送でも往復2時間以上かかる。そのため、複数社で協働し、より多くのアジテータ車を駆使して届けることとなった。
複数社が1つの構造物のために協力して同じ資材を運ぶというのは、例えるなら巨人と阪神が一緒のチームでプレーするような特殊な状況。それほどまでに、このミッションは稀有な挑戦だった。
生コンクリートは、その日の天候や気温にも品質を左右される繊細な材料だ。一番いい状態で現場に届けるために、どんな準備をし、どんな配合設計で持っていくのか。距離が長くなればなるほど品質管理の難易度は上がる。
さらに、同じ構造物の基礎に、異なる2社の生コンクリートを一緒に打設するという特殊なケースである。「2社の製品を混ぜても正常に硬化して必要な強度が出るか」を事前試験して確認するなど、普段以上の入念な準備で対応した。
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挑戦の意義と未来
同業他社と協力して同時に生コンクリートを届けるプロジェクトは、数年に1度の非常に珍しい機会。
工場同士が利害関係を抜きにして協力できる関係を、結果として築くことができたが、この起点には“お互いの営業メンバーを通じた相手への信頼”というものがあったように思う。
本プロジェクトでの協業は、新商品の開発にもつながった。「リサイクルコンクリートブロック」は、一緒に協力した会社から余った生コンクリートの活用方法を教えてもらい、私たちの新商品となったものだ。
ひとつの大きな挑戦から始まった関係性は、プロジェクトの達成というゴールを超えて、これからも新たな未来を生み出していくだろう。